はじめに
現在、がんの治療を受けているが期待するほどの成果が得られていない、がんの手術・薬物治療で腫瘍は確認されなくなったが再発が心配である、がん治療から5年以上経過したが新規のがん発症の不安がある、身内にがん罹患者が多く自分もがんになりやすいのではないかと思う、などがん治療には不安がつきまとうことと思います。元来、人が持つ免疫力は毎日生じているがん細胞を成長しないように抑え込む力を持っていると考えられています。その免疫力が何らかの理由で低下すると抑え込めなくなったがん細胞が大きくなり、がんの発症に繋がります。したがってご自身の免疫力を高めることが、がん予防・がん治療に最も必要なことなのです。
NKT細胞標的治療の経緯
NKT細胞(ナチュラル キラーT細胞)は、T細胞、B細胞、NK細胞に続き見つかった第4のリンパ球と言われ、誰でも持っているリンパ球です。このNKT細胞は1986年に当時の千葉大学医学部免疫学教室の教授であった谷口克先生により発見されました。私も学生時代に講義を受けたことがある先生で学生ながら最先端の研究を行う魅力的な先生という印象でした。
NKT細胞は数が少ないですが多機能なリンパ球であり、この細胞が欠損すると軽微な感染で死亡してしまいますので重要な細胞であることが分かります。またNKT細胞は、がん細胞を攻撃するだけでなく、免疫細胞を活性化することや長期免疫記憶の成立にも関わっていることが分かっています。
谷口教授は千葉大学医学部長を退任後、2001年から2013年まで理化学研究所の免疫・アレルギー科学総合研究所の初代センター長を務めています。その間の研究で体内のNKT細胞を人工的に活性化する物質を突き止めたことからこの治療法は発展しました。その後千葉大学医学部附属病院での肺がん及び頭頸部癌の臨床研究においてその有用性が示されました。
その後、理化学研究所発ベンチャーである株式会社理研免疫再生医学がNKT細胞標的治療(RIKEN-NKT)として、この治療技術を限られた契約医療機関に提供し2015年より一般の患者さんに治療が提供されるようになり現在まで約1000名の患者さんに提供されています。東京シーサイドクリニックでは2019年から本治療を開始し、2025年6月までに227件と契約医療機関の中で最も多くの患者さんにNKT細胞標的治療(RIKEN-NKT)を提供してきております。
現在、さまざまな免疫治療をインターネット上で見かけますが、NKT細胞標的治療(RIKEN-NKT)は最新の免疫治療のひとつです。また大学病院で臨床試験を行い、有効性が報告されている免疫治療は他にはありません。2022年より早くから本治療を始めた大阪のいとうクリニックの伊東先生と私が中心となり日本NKT細胞標的治療研究会を設立しました。この研究会には理研免疫再生医学が提供するNKT細胞標的治療(RIKEN-NKT)を行うすべての医療機関と関連する企業なども参加して年次総会を開催しております。この研究会設立の目的はNKT細胞標的治療(RIKEN-NKT)をがん医療の一翼として認知されるために、医学的根拠を持って治療の妥当性を示すことにあります。そのためすべての提携医療機関のデータをまとめて解析し、治療の有効性について私が年次総会にて毎年報告しております。
NKT細胞標的治療の特徴は次のような点にあります。
- 免疫チェックポイントの阻害
- パーフォリン効果によるがん細胞への直接攻撃
- インターフェロンガンマ(IFN-γ)を産生することによりNK細胞とT細胞を強力に活性化してがん細胞を攻撃させること(アジュバント作用)
- 樹状細胞の成熟化の加速
- T細胞の細胞障害性の獲得の加速
- 活性化NKT細胞による免疫記憶様幹細胞化
- がん細胞が放出するケモカインにより自律的にがん細胞まで体内を移動すること
こうした多機能で長期にわたり効果が期待できるNKT細胞標的治療(RIKEN-NKT)を提供する医療機関の中で、当院は主導的な立場で症例数を重ねてきました。繰り返しになりますが、他の免疫治療と比較した場合、本治療法について強調すべき特徴は次の3点となります。
- 千葉大学および理化学研究所で開発されたNKT細胞標的治療であること
- 大学病院での臨床研究で有効性が示された治療法であること
- 10年間にわたり臨床で用いられ、本治療を行う全ての医療機関での一定の治療成果が確認されていること
治療の実際について
がんに対する標準的治療法には、根治を⽬的にした摘出⼿術、抗がん剤による化学療法、放射線療法があり、がんの部位と種類、進⾏度、転移の有無などを検討し、各治療法が検討・実施されます。しかし、最近第4の選択肢として、免疫療法が注⽬されるようになってきました。
免疫療法は、本来からだが持っているがん細胞を殺し除去しようとする免疫の働きを利⽤して、がんを治療する試みです。免疫は感染症やがんから体を守る能⼒のことです。
このような免疫療法には、ワクチン療法、サイトカイン療法、抗体療法、樹状細胞療法、活性化リンパ球療法など多くのものがありますが、これらの治療法の中で、最も新しく発⾒されたがん免疫療法が、NKT細胞標的治療であります。NKT細胞標的治療は、⾃⾝のリンパ球を刺激して⽤いる活性化リンパ球療法の⼀つです。
NKT細胞は、NK細胞、T細胞、B細胞などの免疫細胞に対して、最も新しく発⾒された免疫細胞です。NKT細胞は、NK細胞とT細胞の特徴を併せ持ち、極めて強い抗がん効果を持っています。
◆ NKT細胞標的治療の特徴
1. 事前の⼿術で腫瘍サンプルを取る必要がありません。
2. ほとんどの種類の腫瘍を対象として治療できます。
3. NKT細胞は放射線に強いため、放射線治療をしている場合でも有効に作⽤します。
4. ⽇帰りの通院で治療が実施可能です。
5. 皮下注射で治療が可能です。
6. 初回接種から早期に体調改善が得られる場合が多くみられます。
7. 臨床試験によって、効果を⽰す科学的な結果が得られています。
8. 培養した細胞は、凍結保存が可能です。
9. 凍結保存することにより、投与スケジュールを都合に合わせ調節することも可能です。
◆NKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)とは
T細胞、B細胞、NK細胞に続く第4のリンパ球です。
これまでがんに作⽤する免疫系として、NK細胞やT細胞が知られ、これらをターゲットにした免疫療法が⾏われています。
NKT細胞は、NK細胞とT細胞の特徴を併せ持つ性質があることから、この名前が得られました。強⼒な免疫反応増強作⽤を有し、がん細胞を直接的に殺す働きとIFN-γ産⽣により、免疫系を活性化することにより、間接的にも抗腫瘍効果を発揮します。
・1986年 NKT細胞が発⾒される
・1997年 NKT細胞リガンド糖脂質(免疫機能活性物質)が発⾒される
・2000年 NKT細胞によるアジュバント作⽤が発⾒される(下図)
◆NKT細胞標的治療の利点
1. ⾃然免疫系*1と獲得免疫系*2を同時に活性化することにより、常に存在する2種類の「がん細胞」、つまり①「MHC*3クラス1を発現しているがん細胞」、②「MHCの発現していないがん細胞」を同時に攻撃できます。
2. したがって、ほぼ全ての患者様、ほぼ全てのがんに対して治療可能です。
3. 患者様⾃⾝の体内に存在する免疫細胞を活性化するので、副作⽤がほとんどない。
*1:細菌やウィルスなど病原体が体内に侵⼊した際、最初に対応する防衛機構です。好中球、マクロファージ、樹状細胞、NK細胞、NKT細胞が免疫担当細胞として活躍します。
*2:感染した病原体を特異的に⾒分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会った時に効果的に病原体を排除できる仕組みです。T細胞やB細胞が免疫担当細胞として活躍します。
*3:MHC:Major Histocompatibility complex(主要組織適合抗原遺伝⼦複合体)免疫反応において、⾃分と他⼈の識別に関与する遺伝⼦群です。
◆ 治療対象
1. 悪性腫瘍患者、および医師の判断により免疫機能改善を必要とする方
2. 性別:問いません
3. 年齢:16歳以上
4. 同意:ご本人もしくは代諾者の文書による同意
5. 除外疾患:既往歴、診察、検査等により判断
白血病、悪性リンパ腫(Tリンパ球型またはNK細胞型)、重度の自己免疫性疾患、活動性気管支喘息、細菌感染症など
◆NKT細胞標的治療の技術的背景
NKT細胞標的治療は厚生労働省の認可に基づき行われる再生医療です。当院では理化学研究所認定ベンチャーの株式会社理研免疫再生医学が開発した「RIKEN-NKT」により治療を行なっています。
◆NKT細胞標的治療の費用
治療総額は、3,525,500円(税込:消費税10%を含む)となります。この金額には当院での検査・成分採血・治療費・血液運搬費など他、株式会社理研免疫再生医学の「RIKEN-NKT」技術提供料、提携医療機関での細胞培養費も全て含まれます。検査の日程により血液運搬費の休日加算など追加費用がかかる場合があります。
本治療は保険診療の適応外ですので全額自費負担となります。病状により追加血液検査や画像検査が必要な場合には追加費用がかかる場合がございます。その他、費用の詳細につきましては当院までお問い合わせください。
◆NKT細胞標的治療の流れ
お問い合わせ(お電話・E-mail)→ 当院にて面談 → 治療前血液検査 → 成分採血 → 血液を契約培養施設に搬送 → 培養施設より当院へ治療薬を搬送 → 当院にて注射治療(2週間ごとに約4回) → 治療後血液検査
◆NKT細胞標的治療の副作用について
<成分採血(アフェレーシス)に伴う副作用>
・ルート確保に関すること
通常、腕静脈に確保しますが、両腕に十分な血管がなく、大腿静脈にルートを確保する場合、稀に感染や出血の合併の可能性がありますが、消毒を十分行い、習熟した医師が行います。また救急カート等の設備を整えて、出血の対応を致します。
・迷走神経反射
精神的な緊張、不安、体調不良等の原因により血管迷走神経反射が起こり、約10%の方でめまい、吐き気、嘔吐が出現し、場合によっては意識障害、血圧低下、徐脈、さらに痙攣や失禁がみられることもあります。このような場合には採取を一時休止もしくは中止し、適切な処置を施します。
・クエン酸反応
成分採血は血液が固まらないように抗凝固剤を加えながら採血します。抗凝固剤に含まれるクエン酸により低カルシウム血症をきたすことがあります。軽い症状では口唇や手指のしびれ感が出現し、進行により手指のつっぱり感が出現します。軽い症状の場合には採取速度を下げることで改善しますが、改善がみられない場合には薬剤を使用します。
・血小板減少
アフェレーシスの際に血小板も一部除去されるため、アフェレーシス後に血小板の減少が高頻度にみられます。
<治療に伴う副作用>
・本治療はご自身の血液細胞を用いた治療のため、特に強い副作用を認めることはありません。治療薬の接種は皮下注射で行いますが、接種部位が1〜2日間赤く腫れる場合がありますが、その頻度も少なくすぐに治り特に治療が必要なことはありません。
前出の治療対象の除外疾患に記載されていますように、自己免疫疾患もしくは免疫異常によると考えられる疾患がある方、副腎皮質ステロイドによる治療を受けている方は、NKT細胞標的治療により悪化する可能性がありますので、必ずご相談ください。
当院は、理化学研究所と千葉大学が臨床試験を行ってきたNKT細胞標的治療を株式会社理研免疫再生医学が改良・実用化した新しいNKT細胞標的治療「RIKEN-NKT®︎」を最も多く行っている医療機関のひとつになります。技術的な点につきましては株式会社理研免疫再生医学の担当者とも面談が可能ですのでご希望の場合にはご相談ください。
本治療に関するお問い合わせは、お電話もしくはE-mail [ info@ts-clinic.jp ]までお願いいたします。ホームページに右上の「お問合せ」をクリックしてお進みください。
☆ 治療のタイミングについて☆
NKT細胞標的治療はできるだけ早い時期に治療を開始することが望ましいですが、ステージⅣなど、がん末期の患者さんの一部においても治療成果が見られています。全身状態の指標としてはパフォーマンスステータス2程度までの活動度があることが望まれますが、なんでもご相談ください。
☆ トピック ☆
2021年4月26日の日本経済新聞に「キラーT細胞がコロナ感染細胞狙い撃ち」という記事が掲載されました。この記事では米国立衛生研究所や米ジョンズ・ホプキンス大学が新型コロナに感染して回復した患者30人の血液中のキラーT細胞を分析したところ、英国型、ブラジル型、南アフリカ型の変異ウイルスに対してキラーT細胞が認識・反応できることがわかったと紹介されています。またキラーT細胞が感染してすぐ働くと重症化を防ぐ可能性があるという研究報告も紹介されています。このようにNK細胞やT細胞の新型コロナウイルスに対する感染予防と治療への有効性に関する科学的エビデンスが確実なものであるならば、NKT細胞はこれらへのアジュバント効果を持つために、より高い効果が期待されます。
本治療の個別面談について
休診日にもオンライン面談が可能な場合があります。ご希望の方は当院ホームページの右上の「お問合せ」からお申し込みください。確認できましたらこちらからご連絡いたします。オンライン面談を事前に済ませますと、来院時に速やかに事前血液検査に進ことができます。
NKT細胞標的治療をご検討の皆様には事前面談を行っております。病状は患者さんにより異なるため電話での回答は一般的なことに限られますことをご了承ください。
事前面談は次の方法からお選びいただけます。
1. 当院での対面による面談(事前予約が必要です。)
2. オンラインによる面談(PCやタブレットを用いてYaDoc Quickにて行います。)
3. 沖縄健康相談サロンでの面談(沖縄県豊見城市にて医師による個別相談会を承ります。面談日は予約制で不定期に開催いたしますので、スケジュールについては電話もしくはメールにてお問い合わせください。)
面談に際しては現在の病状や治療内容がわかる資料をご用意いただいております。可能であれば主治医の先生から診療情報提供書をもらってください。診療情報提供書はなくても疾患名と病状、治療内容、検査データなどがあればご相談を承れます。
面談費: 22,000円(税込) 約1時間を要しています。尚、治療に進まれた方にはこの費用分は治療費から減額させていただきます。
本治療の流れは次のようになります。
事前面談 → 治療前血液検査 →(約1週間後) → 成分採血 → (約2週間後) → 第1回治療(皮下注射) → 以後2週間毎に第4回まで治療
*当院での対面による事前面談の当日に治療前血液検査(検査費 33,000円(税込))に進むことも可能です。
最初のお問い合わせは、当院へお電話いただくか、ホームページ右上の「お問合せ」からメールでお願いいたします。
☆ オンライン相談について ☆
最初の面談をオンラインでも承っております。オンライン面談はYaDoc Quickを用いて行います。ご利用にあたってはご相談される方による事前登録が必要です。事前登録をしますと、空いている予約枠から予約が可能です。必ず「NKT細胞標的治療事前面談」の予約枠から予約してください。もしご都合の良い予約枠が見当たらない場合には電話もしくはE-mailにてお問い合わせください。
面談前には現在までの治療経過がわかる資料を準備しておいてください。かかりつけの病院でもらう診断書、治療計画書、画像診断報告書、血液検査結果などがあると良いでしょう。
オンライン相談の準備は以下のバナーよりお進みください。またYaDoc Quickの利用方法についてはトップページのバナーからご確認ください。
RIKNKT チラシ2020_東京シーサイドクリニック

