特徴ある予防医療

人の体はひとりひとり異なり、予測しない疾病に見舞われることがしばしばあります。そこには生まれながら持つ体質、日々の生活習慣や生活環境なども影響しています。また年齢とともに体は変化します。私は人生に大きな影響を及ぼす病気に備えるのが予防医療だと捉えています。未然に防ぐ、軽い状態のうちに対処する、病気とともに上手に生きる、これらはいずれも状況は違うものの、病気への備え方だと思います。病院や診療所で受けられる保険診療は病気が悪化して症状が出たときだけしか受けられません。したがって日頃から健康への備えをしておくことが将来起こりうる疾病対策に大きな影響を持つのです。

予防医療の最初のステップはまず、「自分を知ること」で、人間ドックが知るための方法です。まだ問題化していないカラダの変化に気づく機会になります。遺伝的な背景も見逃せない情報です。

東京シーサイドクリニックでは、これらの情報からあなたがどのような体質を持っているのか、どのような病気に罹る可能性が高いのかを読み解きます。そして今後はどのような人間ドックをどのような頻度で受けていくべきか、病気を発症しないためにはどうしたら良いか、を提案していきます。以下に当院で行っている予防医療について解説します。

心臓病予防と動脈硬化予防改善治療

心臓弁膜症や不整脈は軽度であると自覚症状がないことが多いのです。また狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患は動脈硬化が原因ですが、発症して救急搬送されて初めて気づくことがしばしばです。しかし原因となる動脈硬化を無症状のうちから適切な人間ドックで把握することができ、虚血性心疾患を発症しないように予防することが可能なのです。

当院で取り組む動脈硬化予防改善治療は、院長の中川が留学先の師匠であるテキサス大学ヒューストン校のK. Lance Gould教授から指導を受けた内容に端を発しています。当時から先進的な研究で知られていたGould教授は心臓PET検査により無症状の冠動脈硬化症を正確に発見することができ、カテーテル治療なしに、食事・運動・薬による積極的な内科治療により冠動脈硬化症を改善させ、狭心症や心筋梗塞の発作を予防することができることを提唱しました。

その手法をさらに発展させて日本で実現すべく、2000年から西台クリニックにおいて心臓PET検診を始めました。また2002年より積極的内科治療を千葉大学医学部附属病院にて開始し、2008年より心臓・動脈硬化ドックと動脈硬化予防改善療法を総合的に東京シーサイドクリニックにて提供しています。

がん予防と人間ドックの受け方

動脈硬化と異なり、がんは体調不良をきっかけに発覚することがほとんどです。タイミングが良いと人間ドックで無症状の早期癌が見つかることがあります。早期で見つかるのと、進行してから見つかるのでは当然ながら生命予後が異なりますし、治療に伴う体力的・経済的損失にも大きな差が出ます。したがってより早期の段階でがんを発見するために人間ドックを毎年受けることが推奨されるのです。では胸部X線、超音波、CT、MRI、PET-CTなど画像診断、一般的なものから腫瘍マーカーやアミノインデックスまで数ある血液検査の中から、どの検査をどう組み合わせた人間ドック(検診)を受けるのが良いのか、医療知識が十分でない受診者の立場では悩ましいことでしょう。医療機関が提供するワンパターンの人間ドックを受けていれば良いのでしょうか。私たちはそうだとは思いません。正しい受け方に答えはないとは思いますが、受診者の皆さんの年齢、遺伝的体質、生活習慣、過去の既往歴や検査データなどから、受けるべき検査を個別に策定してくテイラーメイドな人間ドックをご提案したいと考えています。

NKT細胞標的治療(がん免疫治療)

当院では2019年から、がん免疫治療の一つであるNKT細胞標的治療(RIKNKT)を始めました。この治療は2013年より千葉大学医学部附属病院において臨床研究をしており有効性が報告されています。本治療は厚生労働省の認可による第3種再生医療になります。

本治療は白血病を除く全ての癌が対象となります。また癌に罹患していない方でも免疫力が低下していると判断される方も対象となります。本治療はご自身の細胞を採取して培養し、増えた免疫細胞を接種することで、多彩な免疫力を持つリンパ球であるナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)を活性化する治療法です。その治療効果は、がんの種類やステージ、治療を開始する時期、全身状態などにより様々です。より早期の段階から本治療が導入されることが理想的で、手術で腫瘍が切除できて転移がない方においても再発予防の一助として治療対象となります。治療の詳細についてはトップページより「がん免疫治療 NKT細胞標的治療」をクリックしてお読みください。

2021年4月26日の日本経済新聞に「キラーT細胞がコロナ感染細胞狙い撃ち」という記事が掲載されました。この記事では米国立衛生研究所や米ジョンズ・ホプキンス大学が新型コロナに感染して回復した患者30人の血液中のキラーT細胞を分析したところ、英国型、ブラジル型、南アフリカ型の変異ウイルスに対してキラーT細胞が認識・反応できることがわかったと紹介されています。またキラーT細胞が感染してすぐ働くと重症化を防ぐ可能性があるという研究報告も紹介されています。このようにNK細胞やT細胞の新型コロナウイルスに対する感染予防と治療への有効性に関する科学的エビデンスが確実なものであるならば、NKT細胞はこれらへのアジュバント効果を持つために、より高い効果が期待されます

禁煙治療

喫煙はあらゆる癌の原因となるだけでなく、虚血性心臓病、閉塞性動脈硬化症、肺気腫など多くの疾病の原因となります。しかしニコチンへの依存は強い意志だけでは断ち切れないので現実です。現在は保険診療でニコチン依存症の治療を年に1回まで受けることが可能です。喫煙習慣のある方はまず禁煙治療から、予防医療を始めましょう。

ビタミン治療

ビタミンの効用については学術的にも賛否の別れるところですが、体力の回復やがんの予防などに一定の効果は期待できます。当院では通常のビタミン注射のほか、ご依頼に応じて高濃度ビタミンC点滴にも対応しております。詳細についてはトップページより「自由診療」をクリックしてご覧ください。

食品試験とサプリメント

世の中にはたくさんの健康食品やサプリメントで溢れていますが、その効能は玉石混交のようです。当院では食品の有効性を調べる臨床試験の依頼を複数の企業様からお受けしており、主に動脈硬化、血管内皮機能への効果について評価しております。またその結果は学会発表し、学術論文としても報告して参りました。当院で実際に有効性が検証できた食品やサプリメントを必要と思われる皆様にご案内しており、これも予防医療のひとつと考えております。詳細についてはトップページより「食品臨床試験」をクリックしてご覧ください。

ワクチン・高山病予防

ウイルスや細菌の感染から身を守るためのワクチン接種も重要な予防医療です。日本国内で計画的に接種が定められているものの他、海外渡航時には渡航先により必要なワクチンもあります。これらワクチンは数回に分けて数週間から数ヶ月かけて接種するものが多いため、計画的な接種計画が必要です。

肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチンなど、必ずしも海外渡航に関連しないワクチンについても対応しております。

また標高2000mを超える高地を旅行される場合には高山病対策が必要です。高山病に罹ると旅行計画が台無しになるばかりでなく、命に関わることもあります。予防のための指導と内服薬処方をいたしますのでご相談ください。

院長は日本旅行学会認定医の資格を取得しており、日々、旅行医学についての情報を入手しています。

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